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原晋監督(青山学院大学陸上部)と岩出雅之監督(帝京大学ラグビー部)に共通するもの

毎年年明けは箱根駅伝を楽しく観るのが我が家の恒例行事なのですが、今年は自分の母校が87年ぶりに本戦出場を逃してしまい暗いムードでの観戦となりました。

そんななか、原晋監督率いる青山学院大学が3連覇を達成し、これで全日本大学駅伝、出雲駅伝の3冠となりました。毎年箱根駅伝を観ているのですが、ここまで圧倒的な強さは前例がないのではないでしょうか。

また、大学ラグビーでは帝京大学が大学選手権で史上最多の8連覇を達成。箱根駅伝同様に大きな注目が集まり熾烈な競争が繰り広げられる大学スポーツで8連覇というのはちょっと想像のできなかった偉業です。

 

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両監督の簡単な紹介

原晋監督のプロフィール

1967年広島生まれの49歳。青山学院大学陸上競技部長距離ブロック監督。 高校時代は世羅高校で主将として全国2位、大学では中京大学に進学すると日本インカレ5000mで3位。大学卒業後は中国電力に進むも入社5年目の27歳で現役を引退。

その後は中国電力に営業社員として残ると、10年間にわたって営業の最前線で活躍。1台1000万円もの業務用空調機器の省エネを実現する「エコアイス」を独創的な提案営業で次々と販売し、トップ営業として120人の部下を抱えるまでに成長させました。

2004年に青山学院大学陸上部長距離ブロックの監督に就任。就任5年目にして同校33年ぶりの箱根駅伝出場(22位)を果たすと、翌年2010年の86回大会では実に41年ぶりのシード権獲得(8位)と着実に実績を積み、ついに2015年の箱根駅伝で初優勝を果たす。その後2016,2017年と連覇を達成。旧態依然とした旧来の指導方法を否定し、「青トレ」と呼ばれる独自のトレーニングや「目標管理シート」を導入した独自の選手育成方法にスポーツ界のみならずビジネス界などから大きな注目の的となっています。

一見奇抜に見えるマネジメント方法も大きな話題をよんでいます。例えば、

選手をハワイ旅行に連れていくこと

などは、相当特殊な取り組みではないでしょうか。その取り組みの背景など、原監督の帝王学は書籍でも広く公開されているので、興味のある人は一読してみるといいでしょう。特にオススメなのが以下の一冊!!

フツーの会社員だった僕が、青山学院大学を箱根駅伝優勝に導いた47の言葉

岩出雅之監督のプロフィール

1958年和歌山県生まれの58歳。帝京大学ラグビー部監督、帝京大学医療技術学部スポーツ医療学科教授。新宮高校卒業後、日本体育大学に進学し、1978年明治大学を破り日本一を経験。大学4年次は主将を務めました。1996年に帝京大学ラグビー部監督に就任し、2009年度の大学選手権決勝では東海大学を破り創部40年目にして悲願の日本一に輝く。その後は2010年に早稲田大学、2011年に天理大学を破り史上2校目の3連覇を達成すると、2012年に東海大学を破り史上初の大学4連覇の偉業を達成。その後は今年行われた大学選手権でも優勝し、史上初の8連覇という記録を達成。

血液検査や体組成計測などの体調管理や理論的な練習内容、上下関係を廃したチームマネジメントなど特徴的な指導方法に各界から注目を集めています。

僕が最も心に刺さった言葉は、 

心の逃げ道をつくる

ということ。稀代の指導者にして、後世語り継がれる名監督の教育方針は上梓されている本でもうかがい知ることができます。以下、ビジネスマンも必読の一冊です。

信じて根を張れ! 楕円のボールは信じるヤツの前に落ちてくる (単行本)

共通点1:行き過ぎた上下関係を廃止

 両監督とも行き過ぎた上下関係を廃止しました。強豪校ほど上下関係が存在しているというのが自分の現役時の共通認識でした。誰もが厳しい上下関係は悪だと認識していましたが、これを否定する指導者が少なかったです。

岩出監督はNHKの取材に対して以下のようなコメントをしていました。

僕自身も大学でプレーしていたし、厳しい縦社会を経験して指導者になったが、その考えをベースに指導している事が根本的に間違っているのではないか。現状打破というより、まずは自分自身を変えなきゃいけない。

練習終了後に1年生が先に引き上げ、3,4年生が後片付けを行っているようです。学生スポーツでは考えられない光景です。特に格闘技の様相があるラグビーにおいてはちょっと考えられなかったことではないかな。

また、青山学院大学の原監督も厳しい上下関係をなくしており、自身も過去に行き過ぎた上下関係を経験したとのことです。

原点は広島・世羅高時代にある。先輩に怒鳴られ、殴られることは当たり前。風呂では、後輩が先輩の髪を洗い流す。不合理で理不尽な習慣だった。

これは理不尽度合いがかなり高い。。原監督の指導のもと、青学では1年生も4年生も同じように寮の掃除を行うそうです。1年生も4年生に対して意見を言える雰囲気を作るためには敢えて厳しい上下関係をなくしたとのことです。

自分は高校まで野球をやっていたのですが、多くの指導者は上下関係についてはよく考えてほしいと思いますね。(厳しい上下関係は)社会に出ても何の役にも立たないですしね。後輩を活かすのが先輩の仕事という意識は本当に大切だと思います。

共通点2:監督と選手の関係を正常化

これ、共通点1に通じるものだと思うのですが、監督と選手の関係も正常化しています。ここでいう正常化とは、絶対服従、奴隷的な指導を廃したという意味です。

www.nikkansports.com 

青学では、記事にもあるように奴隷的な指導を排除しているようです。これは帝京ラグビー部も同様のようです。絶対服従 = 思考停止を招くというのは自明のことですが、指導者として自主性を重視するということは勇気のいることだと思います。

共通点3:選手に考えさせる・自主性を重視する

自主性を重んじる風土が両校の監督に共通していますが、それは選手個人個人に考えさせ、自らの意見を発信することが求められます。青学の原監督は3連覇達成後のインタビューで以下のように答えています。

支配型の指導法では長期的な発展性はない。自分は1年生にも意見を言わせる。ただ「ハイッ」と指示を待つだけの学生はいらない。選手が自分の言葉を持ち、自主的に考え、行動できるような指導を心掛けている。今の学生はゆとり世代といわれるが、理屈を教えれば、理解して自ら進んで向上する。最近は何か問題が起きても、学生たち自らが問題を洗い出し、解決へ努力するようになってきた。今回の結果も組織が成熟してきた結果だと思っている。(出典:原監督、理不尽な上下制度や奴隷的指導ぶち壊した

原監督の指導理論はビジネスの現場でもそのまま応用できるものだなというのが分かる文章。指示を待つだけの学生は「いらない」という強い言葉に選手に期待することが込められていますね。

また、岩出監督も以下のようにインタビューで答えています。選手に自主性を持たせるためにはどうすればいいのかという文脈でのコメント

たとえば“お世話になった親のために!”と言えば、頑張る気持ちが湧いてくる選手がいる。また、諦めの早い選手には、過去に諦めたことによって後悔した苦い経験に訴えるんです。あるいは気持ちが高ぶり、反則を犯しやすい選手には、それによって周りに迷惑をかけてしまったことを思い出させるようにしました

選手個々人の性格を踏まえた上で自主性を引き出す言葉を選ぶようです。これは旧来の多くの指導者ができていなかったことだと思います。怒りをコントロールできなくなって怒鳴り散らしている指導者と比較した時に、どちらの監督を選ぶのかを問われたら当然岩出監督のような監督のいる方を選ぶでしょうね。だからいい選手も集まってくるという訳ですね。

共通点4:科学的なトレーニング

帝京大学では1ヶ月に1度定期的な血液検査が実施されるそうです。そのチェック項目はたんぱく質の摂取量や疲労度合いなど34項目にも及ぶというから驚き。また、1日の摂取カロリー、最適な睡眠時間なども考慮した練習内容になっていて、かつて行っていたハードワークは大幅に減らし、平日も2時間、土日も大幅に練習時間を削ったんだとか。

www.tbs.co.jp

 苦労の分だけ報われるという考え方が支配的な学生スポーツにおいて、最適な練習時間を見出そうとする試みにはものすごく大きな価値があると思いますし、8連覇という偉業を達成したことで必ずしもハードな練習が結果に結びつくとは限らないことを証明してくれました。多くの指導者が学ぶべきエッセンスが隠されているように思います。

 

また、青学の原監督は長距離では基本とも言える「腕立て伏せ」「腹筋」トレーニングが意味のないものと結論づけるなど常識を打ち破る理論が注目されています。

news.livedoor.com

 

 確かに、青学の選手は一見すると華奢な選手が多いのですが、体の接触が少ないスポーツですから必ずしもフィジカルの強さは必要ないということでした。なるほど。

 

以上、共通点を探してみました。他にも細かな指導方針もよく似ている点が多く非常に興味深かったですね。生徒の指導に関わる先生方、指導者の方は参考にしてみるといい結果に結びつくかもしれませんね。