ひも的株式投資ログ

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日本アセットマーケティング配当実現なるか?オアシスの意見送付について

いつも無風状態の日本アセットマーケティングの株価に大きな変化がありました。

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https://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/detail/?code=8922


一時は、20円以上の値上がりで141円をつけました。いつもは±1円しか動かない銘柄なので、非日常的な光景に驚きを隠せませんでした。

では、なぜ株価が急上昇したのか。その理由は、香港に拠点を置くヘッジファンド「オアシス・マネジメント」による、日本アセットマーケティング(以下、JAM)の取締役に向けた提言でした。(オアシスは、JAMの株主)

markezine.jp

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オアシス・マネジメントの提言の内容は?

では、いわゆる「もの言う株主」であるオアシスの提言内容とは一体どんなものだったのでしょうか。今回公開された意見書のなかで言及されているのは、以下の2点についてです。

  • 株主還元の不当な低さ
  • ガバナンス上の問題点
株主還元の不当な低さ

 株主還元は、「配当」のことです。日本アセットマーケティングは、ここ最近の業績が好調であるにも関わらず無配状態が続いています。同社の四半期報告書などには、無配の理由が「財務状態の改善を優先」としていますが、すでに自己資本比率は55%超、同業他社と比較しても遜色ないどころか、高い水準にあるとも言えます。

オ資本政策の不可解さや、少数株主軽視とも取れる無配の継続については、ツイッター上でも時折批判がなされています。以下、自分がよく参考にさせて頂くコンサル投資家さんのブログ記事です。このときは、日本アセットマーケティングがドン・キホーテHDに対して第三者割当増資を行ったタイミングでした。これも、いまだに株主としては理解に苦しむ部分もあり、後述するガバナンスの問題点を生み出す温床となっている気もします。

www.con-invester.com

オアシスの意見書では、配当が実施できる理由ががいくつか列挙されていますが、今回のオアシスの意見書で最も賛同したのが配当の実施を要求したことでした。それも、「配当利回りの目標値を3%程度」と具体的に言及したことで、日本アセットマーケティング側にも大きなプレッシャーとなったのではないでしょうか。

この意見書に対する同社の回答が早く見てみたくて仕方ありません。

ガバナンス上の問題点

意見書によると、日本アセットマーケティングの株式の81.9%をドンキホーテHDのグループで保有しており、過度な人的な結びつきを指摘しています。

日本アセットマーケティングの取締役会の7名のうち、社外取締役の1名がドンキホーテの子会社の監査役であり、全ての取締役がドンキホーテHDの関係者ということで、独立性と実効性が十分に担保できていないという内容です。

株主構成(ドンキホーテHDの保有割合)と取締役会の人事を見ると、実際にそのような意向があるかに関わらず、少数株主を無視するには好都合な状況であることは間違いないでしょう。

今後の展開について

ここからは完全な私の推測ですが、意見書に記載されている通り、不動産関連投資を行う投資運用グループの「スターアジアパートナーズII」がかつて日本アセットマーケティングに対して財務体質の改善等の提案を行っていますが、これは一部を除いて実現されることはありませんでした。

そして、その提案に対しての経緯や同社の展望も明るみになることはなく、透明性を欠く対応であったように感じます。

過去の経緯を振り返ってみても、即時に日本アセットマーケティングがガバナンスの強化や配当の実施に踏み切る可能性は正直低いように感じますが、今後は、オアシス以外の少数株主(個人投資家含む)の声をどれだけ経営陣に届けられるかが重要になるのではないかと思います。

株主はそれ相応のリスクを背負って投資を行っているのですから、足元の業績が好調であるにも関わらず一向に配当が実施されないのであれば、即座に上場廃止すべきです。自分の同社株式の持ち分はたったの4,500株ですが、ただこのようなニュースを傍観するのではなく、同社のIRに企業としての株主対策を聞いてみたりするなど、具体的な行動をとる必要があるように感じました。

 

追記:日本アセットマーケティングが支配株主との関係に言及

オアシスの意見書を受けてだと思うのですが、日本アセットマーケティングが適時開示を行ったなかで、以下のような記載がありました。

当社は経営体制を強化する目的から、親会社の企業グループ等の役職員が当社の役員を兼務しておりますが、事業活動上の制約はなく、当社独自の経営判断により事業運営を行っており、経営の独立性及び自主性は維持されております。 

これは納得感に欠ける記載ですね。配当の検討も自分たちできちんと行っているのでしょうか。ドンキホーテHDの経営陣からの一言で決まっていないか懸念が払拭できません。

また、東洋大学のHPにもありますが、越塚孝之氏は30代の若さでの社長就任となっていましたので、年功序列の日本企業においてはなかなかドンキホーテHDからの意見にNoとは言いづらいのではないかという懸念があります。もう少し説明があれば嬉しいのですがね。