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【書評】週2日だけ働いて農業で1000万円稼ぐ法 -堀口博行(著)

昨日投稿した「夢の百姓「正しい野菜づくり」で大儲けした男」横森正樹 に近いジャンルの本を読んだので、その感想を備忘録程度の書いておきたいと思います。

 

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タイトルに若干の違和感

Amazonのレビューがちょっと荒れ気味なのですが、タイトルにある「週2日だけ働いて」というのは確かに本人は週に2日かもしれませんが、内容を見る限り平日は著者のお母さんが出荷作業をしているようです。

 

つまり、実態としては「週に2日だけ手伝っている農場が1000万円の利益を上げた」ということで、若干の釣りタイトルという感じは否めません。
また、1000万円の利益の内訳(売上、経費等の詳細なデータ)が示されていないことから、Amazonのレビューが荒れているんだと思います。

 

長ネギの反収が60万円になっているが、、、

「野菜栽培の高収益にびっくり!」という章で、米などの穀物の対比でいかに野菜が儲かる作物かが描かれています。(「利益」の定義が明確でないのと、そもそもこのデータはかなり怪しいですが。)

野菜は面積あたりの収益が、米や小麦、大豆に比べて非常に高いです。どれくらい違うかというと、作物によっては10倍以上違います。

簡単にいうと、1ヘクタールの面積で概算で次のようになります。

  • 麦は30万円の利益
  • 大豆は40万円の利益
  • 米は80万円の利益
  • 長ネギは600万円の利益

 本当に1ha(ヘクタール)の面積で長ネギで600万円の利益が可能でしょうか?
少し前になるのですが、農水省の出している調査結果では、10a(アール)あたり2tの収量とのことです。つまり、1haでは20ということですね。

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次にネギの卸値ですが、大田市場のデータより高く見積もって1kgあたり500円とします。(比較する年度が異なったり地域差があるのは承知の上ですが、ここでは概算の収益を計算するために誤差は度外視します。)

 

そうすると、これでちょうど1000万円になるんですね。
諸々の経費を差し引いいたら確かに600万円が手元に残っても不思議ではない気もします。ただし、実際に経営をしていくと農機具などは割賦で買っているでしょうし、その支払いなどを含めると600万円は厳しい数字になるんだろうと思います。

国の調査では反収が34万円になっているが

農業経営統計調査 平成21年 個別経営の営農類型別経営統計(経営収支)によると、露地の白ネギの1反(10a)あたりの収益は34万円となっています。
仮に売上に対する収益率が40%とした場合、売上は85万円になります。すくねー!!

この調査では、1反あたりの収穫量も示されており、白ネギは22tとのことです。

 

つまり、上記の仮定条件を踏まえた上でこの調査より1kgあたりの売上は、、

850,000円 ÷ 22,000kg = 38.6円/kg となります。

おいおい、まじかよ。これ何かの間違いじゃないでしょうかね。。
こんな安値で取引されるはずがないと思うし、そもそも大田市場のデータとは桁がひとつ違うような気がします。

どなたか有識者の方がご覧になられていたら、コメント頂けると嬉しいです。

 

週2日だけ働いて 農業で1000万円稼ぐ法