日本アセットマーケティングが今週、決算を発表しましたね。株価は発表の前後でちょっと上がったくらい、出来高もそこまで多くなく、波風立たずに決算を終えた印象でした。
株価が動かなかったゆえに、決算内容への関心が薄れがちですが、一応ざっくりとでも内容を振り返ってみようと思います。株価は反応していないが、実はすごく重要な示唆が隠れている可能性があるかもしれないですしね。(その逆もまた然り)
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早速ですが、以下、各損益項目の数値です(連結ベース)
平成29年の数字がないのは、連結決算を行っていないからでしょう。非連結ベースの数値を入力すると以下のようになります。(Excelで表を自作したので少し見づらいかも...)
売上高、四半期純利益が増加したものの、営業利益、経常利益はわずかに減少しています。売上高が増加した一方で、利益額が減少しているので、利益率は悪化したというのが事実です。ただし、軽微なものなのでさほど気にするレベルではないです。
自己資本比率、1株当たり純資産(BPS)が増加
次に、自己資本比率、BPSについてです。結論から申しますと、こちらの数値は良好なものでした。
自己資本比率は2%以上の改善、BPSは5円近く上昇しています。PBR1倍が131円となりますから、この水準までは来週中には買われるような気がしています。
日本アセットマーケティングは、かつて債務超過に陥った会社でした。会社の存続自体が危なかった。その歴史的経緯を踏まえると、損益項目よりもまずは資産額の推移が気になるところですが、純資産もBPSも増加しています。この点は何よりも先んじて評価されるべきでしょう。
日本アセットマーケティングはストック型のビジネスモデル
同社はストック型のビジネスモデルと言えるでしょう。決算短信のセグメント情報を見ると、以下の3事業を展開しています。このうちほとんどがストックの収益となっています。(その他事業についてはフローの収益ですので、各期でかなり変動がありそうです)
- テナント賃貸事業:17億37百万円
- 不動産管理事業:1億61百万円
- その他事業:30百万円
※数字は各セグメントの営業利益額
このうち、テナント管理事業の利益額が大きいですが、物件の借り手(JAMから見ると貸し先)は他ならぬドンキホーテがメインです。(長崎屋などの同社グループ店舗もありますが)
テナントの賃貸事業は物件から撤退されることがリスクとなりますが、借りてであるドンキホーテは周知の通り業績が絶好調ですので、この売上が減少することは足元の業績から判断すると可能性は低いと言えるでしょう。
となると、単純に物件の取得が進めば進むほど利益が増加する格好ですが、日本アセットマーケティングは物件の取得状況も順調そのものです。決算短信によると、静岡県伊東市、兵庫県姫路市の2物件を取得しています。
このうち、姫路の物件は駐車スペースが1600台もある大型物件ですので、事業は順調と言って差し支えないでしょう。
今後、想定されるリスクとしては、何より物件の取得が進まないことです。これが一番のリスクでしょう。ですので、次回以降の決算では物件取得の進捗状況について目を光らせるのが企業価値を判断する正しい姿勢かと思います。